伊藤明良一級建築士事務所がお手伝いさせて頂きました、京王井の頭線沿線下北沢の小さな分譲地の家の紹介です。

下北沢の駅から少し離れた閑静な住宅街に新たにできた小さな分譲地の一画の住宅の計画です。

一区画の敷地面積は約15坪、ここに地上3階建て木造住宅を容積いっぱいに建てること、一戸建てならではの小さな分譲地でも大きな窓や風通しを十分に感じられる、分譲地でも個性的な住まいがお客様からのご要望でした。

小さな分譲地では、法的に許容される床面積や建物高さ制限をフルに活用した結果、同じ建物形状の家が並ぶ風景をよく目にします。今回の敷地でも同じ建物形状が並ぶことが想定されました。その中で、お客様の望まれるご要望を如何に反映していくかが問われました。

お客様は夫婦の二人暮らし、将来の子供部屋を想定して間取りは2LDK+1SR(1階の納戸)を基本とし、法的に許容できる床面積をフルに活用して、フロアの配分を1階/水廻り+1SR+(駐車スペース),2階/LDK,3階/個室×2の配分としました。(その後、この分譲地内の住宅はおおよそこの構成を基本として構成されています。)

建物形状も同じ、間取り構成も同じ、、、、、住まう家族が異なるのに、マンションのように家の中がなんとなく透けて見えてしまう分譲地の住宅の不気味さを改善すべく、何とか『一戸建て感』を持ち込みながら、個性的な住まいを反映できないかを検討しました。

2-3階への階段3階階段室見下ろし

部屋の数や広さ、畳数では規定されない動線部分を活かした構成として『3階建ての階段室』を開放することを考えました。

平面的な間取り図では現れませんが、3階建における階段室は1-3階まで吹き抜ける大空間でもあります。この「見えない吹抜け」を活用して、暗くなりがちな1階玄関廻りの明るさ、2階の採光面の確保を補填することで、1日を通して光の変化を感じられる住まいを考えました。2階階段室には大きな窓を設けることで貴重な南側採光面から豊富な光をリビングに取り込みます。大きな窓は隣地側との干渉を考慮してガラスを半透明調のガラスを採用しています。半透明がらすが光を拡散する効果も期待しました。

仕上げ材へのこだわりのあるお客様もこの豊富な光のおかげで仕上材の選択肢を増やすことができて、あちこちにお客様の嗜好があふれる住まいになりました。

 

2階階段室

写真の階段室の大窓(半透明調ガラス)とストリップ鉄骨階段(階段側板が開放されている)により

2階LDKに豊富な光をもたらします。右手奥のキッチン背面には、採風と隣地庭の豊かな植栽を借景を

採り込む窓を設けて、小さな分譲地でも風・視界が抜ける広がりのあるリビングになりました。

 

小さな分譲地でもたくさんの可能性が潜んでいます。お客様との対話から住まいの素敵なSTORYを探し出せたらと思います。

伊藤明良

 

 

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